REPORT

アムステルゴールドレース(オランダ、ワールドツアー)

50回目の記念大会となったオランダ南部のクラシックレース「アムステルゴールドレース」。いくつもの急坂と、“1000のカーブ”と言われる複雑なコースレイアウトがレースの特徴で、ゴールラインも「カウベルグ」と呼ばれる登坂区間にある。またトップカテゴリーであるワールドツアーのレースであり、チームはワイルドカードにより出場権を獲得した。2008年にダミアーノ・クネゴが優勝しており、今回もクネゴを中心とした布陣で挑み、クネゴは優勝した世界チャンピオン、クヴィアトコウスキーから26秒差の第2集団でゴールした。

Amstel Gold Race 2015

山本元喜のレポート

コースはアップダウンが連続し続けるレースで、初めて出場するワールドツアーのカテゴリーのレースでした。

自転車のレースにはカテゴリーが設定されています。上から順に、ワールドツアー・HCクラス・1クラス・2クラスとなっています。今回のレースは最高クラスのワールドツアーレースです。

このワールドツアーレースは世界のトップチームである「17のワールドツアーチーム」と「大会から招待されたプロコンチネンタルチーム」のみが出場できるレースで、世界最高レベルのレースに位置します。

ついでにチームのカテゴリーについてですが、2015年度は世界のトッププロであるワールドツアーチームが17チーム、その下に、自分の所属するNIPPO VINI FANTINIを含むプロチームのプロコンチネンタルチームが20チーム、さらにその下にコンチネンタルチームが存在します。

ちなみに日本のチームにはプロコンチネンタルチームが存在しないため、ワールドツアーレースに出場する事は出来ません。

前置きが長くなりましたがレポートです。
●レース前のミーティング

レース開始後からアタックして逃げろ!と指示。「全力だ!全力!全開で突っ込め!」といつもに増してノリノリの指示。いつも逃げれない自分ですが、とにかく頑張ってアタックして逃げたい意思を見せろ!ということだろうと認識。

●レースレポート

初めての世界トップクラスのレース。いつもは緊張しない自分も流石に前日から緊張していたが、それはスタートラインに並んでも変わらず。緊張からか寒さからかガタガタ震えていた。周りを見ても震えている選手はいなかったので、武者震いだろうと自分に言い聞かす。

カウントダウンがあってパレード走行開始。
パレードのうちに路肩を使って先頭に上がる。
そのまま先頭をキープし続けてレース開始。
当然の如く開始直後からアタック合戦開始。
自分も先頭付近に留まり自分からは行かずにアタックに反応するのみ。
中々決まらない。

そうこうしている内に1発目の登りに突入。
半端無い勢いで勾配のきつい坂に突っ込んでいく。あまりの速さに耐え切れずどんどん抜かれていく。集団内を3分の2程下がったところで登りが終了する。

そこから平坦が続くが、さっきの一瞬のダメージで上がった息が戻らない。
逃げが決まっていない事もあり集団もハイペース。
息を整えつつ少しずつ集団の左側から前へ上がっていく。
ジワジワ上がっていき、先頭が見えた。

まだ逃げは決まっていない様子。集団が左によってきて行き場が無くなる。
ペースを落としてもいいが、左の路肩を使って一気に先頭に出た方が良いと判断。
路肩に入る。
先頭まで行こうと路肩を単独で爆走していると車道と低めの生垣で分断される。完全に戻れなくなった。単独だった事もあり疲れてきて集団と並走しながらズルズル下がっていく。
それでも生垣は終わらない。
集団の最後尾が過ぎて車列が始まった頃にやっと生垣がなくなる。

生垣の切れ間からレース復帰。たまたま前に上がってきていたNIPPOのチームかーから「トラブルか?」と聞かれる。「トラブルじゃない」と答えて再び最後尾から上がろうとする。
上がろうともがいている内に逃げが決まったようで集団のペースが落ちる。

30km地点ほど。
そこからは気温が上がりだしたのでチームメイトのレッグウォーマーやジャケットを回収する。
背中やお腹に詰めて真ん丸になりながらチームカーへ運ぶ。チームカーへ運んだ時に、「チームメイトのジャコモと一緒に居ろ」という指示が出てそれからは近くをキープする。

レースは平坦や登りは比較的ゆっくりのペースで進む。しかし下りはかなりのスピードで突っ込む上に、下った直後に直角コーナーという事もざら。このレースがジェットコースターのようなコースだとネットで見たときは、面白い例えもあるなと思っただけだったが正にジェットコースターのよう。何度か後輪をロックして滑り、前に突っ込みそうにもなる。

次に指示があったのが78km地点ほど。
無線で自分とジャコモに「先頭に上がれ」という指示が出る。
先頭に上がっていく途中に集団前方で1列になっているトレックの列車に並走。
別府さんを見つけ「こんにちは!」と挨拶した瞬間路肩に落ちる。

道路に戻り一気に先頭へ。
「どうしたらいいのか?」と思っていると、しばらくしてジャコモも到着。
「先頭を引くローテーションに加わる」と教えられジャコモの後ろに入る。
しばらくモビスターの選手がユックリ先頭を引いている後ろで交代を待つ。

最初は10分だったタイム差が11分に開く。
「いいのか、これ?」と思っていると、案の定無線から「ペースを上げろ!」と指示が出る。
まずジャコモが先頭でペースを上げていく。
結構いいペースでキツめだったが、交代後も同じくらいのペースで踏んでいく。
逃げとのタイム差も徐々に詰まって行く。
正直結構きつい。

しかし、今までのレースで経験してきた、最後尾で引きずり回されるのよりはよっぽど楽。
それに何より、「ワールドツアーのレースで集団の先頭を引いている」という事でかなり気持ちいい。すぐにモビスターの選手がローテーションに入らなくなり自分とジャコモだけで先頭を引く事になった。そのままのペースで踏み続けて逃げとのタイム差が6分40秒程まで縮んだ。

無線から「クネゴがトイレで止まったからペースを落とせ」という指示が出る。少しペースを落としていると他のチームが前に上がってきて集団に飲み込まれる。ジャコモも後ろに下がっており集団内のチームのところまで下がる。そのまま集団内にいると下りでハイスピードからの急ブレーキ。今回は勢いを殺しきれず前にいたチームメイトのフィロージに突っ込む。

「バキッ」とかなり大きな音が鳴る。ホイールが割れたか?と急いで確認するが無事。
後ろを確認すると固まっていたせいでNIPPOのメンバーほとんどが止まっている。
さらにクネゴの後輪の調子が悪い様子。

幸い壊れてはいなかったようで再スタート。
しかしやはり調子が悪いようで直ぐに再び止まる。
しばらく待つと問題が解決したようで急いで再スタート。
もし、ここで遅れてしまってはかなりまずいので、自分が下りと平坦部を全力で引いて前を追う。
登りに入ったところで交代。
全力で引きすぎたせいで千切れる。
「やめたい」と思うが、諦めずに頑張る。
集団に追いつく。

時刻を確認すると1:50。
日本時間で8:50。
後10分でJSPORTSが始まる。
映れるかもしれない。

そこからは道が狭い&コーナーが多い為、いつもどうりの最後尾貼り付け。
何度も「やめたい」と思い足を止めてしまいそうになるが、「まだ足が動くのなら止めてはいけない」という気持ちでひたすら頑張る。
「テレビに映りたい」という気持ちよりも、「ワールドツアーのレースに少しでも残りたい」という気持ちで走っていた。
そもそもテレビに映るという面では最後尾でヒラヒラしているのはダサいのでさっさと止めるべきである。

その後グルベルベルグでの落車による集団ストップに巻き込まれ、遅れる。
再び追いつく。
かなり足が限界。
登りへ。

ペースが速いという訳ではないが遅れる。
脚に限界が来ており、筋肉が固まってしまっている。
踏む事もできず回す事もできず集団から遅れる。
NIPPOのチームカーに抜かれるときに、もう完全に踏めなくなっていると判断されて「レース終了」と伝えられる。
150km、4時間、2:20の地点だった。

その後、レースの最後尾を走る車に回収されてゴール地点で降ろしてもらった。

 

●感想

世界トップクラスのレースでいい経験を出来たと感じた。
しかし本当に厳しく激しくなるのは自分が千切れた後なのだろうと思うので力はまだまだ足りない。瞬間的なペースアップの際の出力で劣っているので登りでのペースアップで遅れるのだろうと思う。

しかし今まで最後尾で引きずり回されていたのも無駄ではなかったのだと感じることが出来た。苦しい思いをすればそれは自分の力なるのだと改めて思った。DNFばかりではあるが、力は付いてきているのだと感じれた。

しかし、時間にも限りがあるので常に努力し、強くなれなければヨーロッパにい続けることは出来ないのだろうとも思う。これからも努力し、頑張っていきます。