REPORT

ヴォルタ・リンブルグ・クラシック(UCI1.1)

4月4日にオランダ南部のリングルグ州で開催されたワンデイレースで、いくつもの登坂区間が連続する。チームは逃げに乗ったダミアーノ・クネゴが9位でゴール。日本勢は山本元喜と黒枝士揮が出場したが、途中でリタイアする結果となった。

●山本元喜のレポート
オランダでの1クラスのワンデーレース、ボルタリンブルグクラシックに出場してきました。
距離は197kmでアップダウンが連続するコースでした。

レース前のミーティング
自分への指示は少しでもいいから逃げにのってみるということ。乗れなければ集団内でクネゴの近くにいて集団内に残るという指示でした。

レースレポート
気温が5度なうえに雨まで降るという悪天候の中でスタートラインに並ぶ。
ロードレースはありとあらゆる過酷な環境で行われる。
基本的に「中止」という言葉は存在しない。
今までで一度だけ国体で台風直撃で中止になったことがあったが、
たぶんヨーロッパなら決行していたと思う。
過酷な環境も含めてレースということなのだと思う。

パレード走行は短めでレーススタート。
スタート位置が後ろの方になってしまっていたので急いで前に上がる。
前回のレースでは前に上がることも難しかったのに、今回は意外とあっさり上がれた。
成長したのかな?と思いながら先頭に出ることができる。
アタックに何回か反応するが決まらない。
自分で行ってみると誰も来ず、一人になった。
おそらくすぐに吸収されるので「まずいな」と思いながらも、
もしかしたら後ろから少数が来て逃げになるかもしれないとも思い、踏む。
しかし結局集団で追い付かれ吸収される。
吸収されるといつもは最後尾辺りまで下がってしまうが、なんとか中盤で粘れた。
そこから上がり直そうとするが道が細いうえにコーナーが多く上がれない。
集団中盤で前に上がろうともがいているとアップダウンが始まる。
一つ一つの登りは短いが勾配がキツイため、位置を維持するのがやっとになる。
苦しんでいると再び平坦になり左側からチームメイトのコッリが上がっていく。
ここで付いていかなければ上がる方法がないと思い付く。
ギリギリ千切れずに先頭付近まで上がると十数人の選手が先行していた。
集団は逃がすつもりがないらしく、ペースを落とさずハイペースで追いかける。
先行しているグループも逃げたいようで、ハイペースの追いかけあいがしばらく続く。
自分は先頭付近でクネゴの近くにいたが、登りも下りも平坦もハイペースでかなりキツイ。
すると平坦区間でいきなり右からの横風が吹く。
集団が一気に右により自分の前の選手が右車線の真ん中から道路の右端まで急に移動した。
悪天候で視界が悪いため反応が遅れる。
前輪が前の選手の後輪の側面に2回ほど接触した。
間一髪でバランスを建て直し落車を回避する。
そして再び登りが始まる。
ギリギリのラインではあるがなんとか付いていくことができると感じる。

しかし次の瞬間ペースがもう一段上がった。

ほんの少しのペースの差ではあったが自分の限界のペースを越えた。
なんとか粘ろうと全力で踏み込むが粘れない。
集団内に飲み込まれていく。
この狭いコースで一回飲み込まれると再び前に上がるのはかなり困難。
しかも粘ろうと頑張ったせいで限界で酸欠状態。
顔が歪んで、視界も悪天候の影響以上に狭まる。
フラついて他の選手から怒鳴られる。
なんとか登りを集団最後尾でクリア。
一気に下って再び登りへ。
ペースは相変わらずハイペース。
ギアを軽くしようとしたが手がかじかんで上手く変えれない。
集団最後尾でなんとか粘ろうと全力で踏む。
「オェァ」
キツすぎて勝手に嗚咽が出てきて自分で驚いた。
その登りで集団から千切れる。
ちぎれてすぐに登りが終わり、何人かで集まって前に追い付こうとする。
しばらく追ってから距離を確認すると33km。
そこで再び登りが始まる。
やめ出す選手もいたが「ここでやめるのは早すぎる」と思い、先頭が緩む可能性にかけて踏む。
登りが終わり一人になる。
ニッポのチームカーに抜かれ「後ろのグルペットに合流しろ」と言われ、後ろに合流する。
しかしその集団でもやめる選手が続出して数が減る。
それと変わるようにメイン集団から千切れた選手を吸収し
メンバーがドンドン入れ替わっていく。
アップダウンを何度も繰り返し、登りの途中で何度か見えていたメイン集団を完全に見失う。
さらにそのあとも2人になるまでしつこく走っていたが、
最終的に最後尾に付いている車にレース終了を告げられDNF。
スタートから60km地点だった。

感想
なんというか酷い目にあったというのが正直な感想ではあった。
パワー不足というかインターバルの能力不足というかとにかくキツかった。
でも遅れてから粘っていた感じでは前と急に離れた感じではなかったので、
自分が千切れた直後辺りに集団のペースが落ちたのかもしれない。
そうであれば、最大にキツかった部分さえ乗り越えていれば
前に残れていた可能性もあったと思う。
調子がいいと思っても一瞬で追い込まれるので油断は禁物だと改めて思った。
もっともヨーロッパのレースで油断するほど余裕があったことなど一度もないが。
これほどまで追い込まれてボロボロになることなど最初から分かっているし、
そうでなければヨーロッパに来ている意味がないとも思う。
どんなに残念な感じでも心折れずに頑張る所存です。

レース終了後
チームのキャンピングカーで着替えゴールの様子を見に行くと
BMCが逃げ切り優勝でクネゴが9位。

その後ニッポのゴールした選手がキャンピングカーで着替えていたので、
中が狭くなるのでDNFになった自分を含めた4人は外にいた。
すると着替え終わってキャンピングカーから出てきたクネゴに
笑いながら「何やってるんだ?」と聞かれた。
いろんな意味で何やってるんだ?という感じではあったが、
爽やかすぎて「ピッコロプリンス(小さな王子)」の名は伊達じゃないと思った。