REPORT

ツアー・オブ・ジャパン(UCI2.1)

開催日 5月18日〜25日
開催場所 日本

国内最高峰となるUCI2.1カテゴリー、全6ステージで開催される「ツアー・オブ・ジャパン」。大阪から東京まで移動しながら開催される総走行距離581kmのレースで、今年で第17回目を迎えた。

参加メンバー:宮澤崇史(日本)、グレッガ・ボレ(スロベニア)、アレッサンドロ・ビソルティ(イタリア)、ピエールパオロ・デネグリ(イタリア)、アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア)、ウィリー・シミット(南アフリカ)

●第6ステージ(5月25日)
開催地/東京都港区大井埠頭 距離/112km

グレッガ・ボレが総合2位、総合ポイント賞獲得

日比谷公園をスタートし、大井埠頭の周回コース(7km)を14周回する最終ステージ。昨第5ステージで44名の選手がDNFとなり、最終日は41選手のみの出走となった。3選手が先行するが、ゴールに向けてスプリンターチームがコントロールするメイン集団に吸収され、ゴールスプリントの展開に。20歳のニッコロ・ボニファジオ(ランプレ・メリダ)がプロ初勝利を挙げ、2位にグレッガ・ボレが続いた。チームメイトを欠いた状態での出走だったが、無事に総合2位と総合ポイント賞を獲得した。

結果
2位グレッガ・ボレ

グレッガ・ボレのコメント
「初めての来日を前に多くの不安がありましたが、いいレースができたことを嬉しく思っています。日本のレースは大会の運営面も良く、自分たちのスポンサーである株式会社NIPPOのためにも結果を残すことができて良かったです。伊豆ステージでは、自分のために走ってくれたチームメイトを失う結果になってしまい、それは非常に残念でしたが、彼らのためにも、そしてすべてのスポンサーのために、最終日の東京ステージでは一生懸命走りました」

大門宏監督のコメント
「伊豆ステージが終わった直後は、イラン選手が強すぎるという気持ちが強かったが、冷静に振り返ってみると『あの日はボレ以外、皆あんまり走れてなかったなぁ』と思った。今回アシストの要としてメンバーに入れたマラグーティとシミット、本来登りのコースを得意とするビソルティ、3名とも本来の調子ではなかったのが最大の敗因だったと思う。

レース後、各選手と話したが、調子が悪いなかで、かなり無理をしながら追走していた様子が伺えた。調子が思わしくないメンバーがいたのなら、もう少しタイム差が付いてから追い始めたほうが他のチームとの利害も一致しやすかったのではないか……とも色々振り返させられた。しかしながら、彼らの献身的な牽引で1周回でも多くボレに楽をさせられたことは言うまでもない。あの局面でアシストの最後の切り札だったデネグリが半分を残して早々と戦列を離れた後、アンカーチームやその他のチームが牽引したのだが、メイングループのペースは上がることはなく維持するだけで精一杯。むしろイラン選手のペースが逆に上がったことでメイングループが動揺し、ペースアップもできず差が広がっていった。

後半はメイングループでも牽引するチームと、決して先頭には出ず、守りの走りに徹するチーム(追い付くことよりも遅れたくないこと&このグループで上位を獲ることが目標)がハッキリ分かれていたのでイラン選手にプレッシャーを与えることができない雰囲気だった。

自分たちにとって大会前は予想もしていなかった個人総合のタイトルを守るフォーメーション……。あくまでも結果論だが、その原因は今回のイラン選手の布陣が、トップから遅れること(勝てないまでも)は考えられなかった飯田ステージで遅れたことに尽きると思う。

それにしても、前記したようにアシストメンバーが、あともう少し本来の実力を発揮していれば、最後の局面でボレを先頭に送り込むことは可能だったと思う。まぁ、先行していたイラン選手から『ラスト2周は無理しなかった。差が詰まったらペースアップはいつでもできた』と言われたら、元も子もないのだが……。でも、今回のメンバーのチームワークは抜群だった。今回は初日から最終日まで調子に乗り切れなかったメンバーも抱えながらのステージ優勝1回、 個人総合2位、総合ポイント賞獲得だったが、今回の大会を通じて改めて、個人総合優勝を狙うことは、ステージ優勝や各賞とは次元の違う難しさがあると、ズッシリと感じさせられた思い出深い大会となった」

●第5ステージ(5月24日)
開催地/静岡県伊豆市日本サイクルスポーツセンター 距離/146.4km

アップダウンに富んだテクニカルな12.2kmの周回コースを12周回する。獲得標高は4,000mを超える厳しいコースレイアウトで、スタート直後から総合順位逆転を狙うイラン人選手ガダール・ミズバニとミルサマ・ポルセイェディゴラールのタブリーズ・ペトロケミカル勢がアタックを仕掛け、逃げグループを形成する。メイン集団は総合リーダーのグレッガ・ボレを守るヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザがコントロールするが、イラン人選手の驚異的な登坂力を前に、チームはすべてのアシスト選手を失ってしまう。イラン人2選手と19歳のクライマー、ヒュー・カーシー(イギリス、ラファ・コンドール・JLT)、3選手が逃げ切る展開となり、総合はポルセイェディゴラールが逆転。ボレはリーダージャージを失ったものの、最終周回になりメイン集団からアタックを仕掛け、ステージ4位でゴール。総合2位とポイント賞を守った。

結果
4位グレッガ・ボレ(+2’04″)、DNF アレッサンドロ・ビソルティ、ウィリー・シミット、ピエールパオロ・デネグリ、アレッサンドロ・マラグーティ、宮澤崇史

宮澤崇史のレポート(フェイスブックより)
チームは前日の富士山ステージでリーダーを獲得し、最後の正念場となる伊豆ステージを迎えた。
今日はタブリーズ、ラファの攻撃に対してどう動けるかが焦点になってくると予想。
前半の逃げは容認のつもりでレースはスタートした。

スタートしてすぐにアタックがかかり、容認の動きになった所で早くもタブリスの2名がアタック。
集団はこの逃げを認めるわけにはいかず全開で追う姿勢で前を追走。
しかし、差は広がる一方でチェックに入った選手達も次から次へと脱落して行く。
レースが半分を過ぎた頃にはアシストを使い切ってしまい、全員グルペットに落ちてくる。
体調があまり良くなく私は早い段階からグルペットで一定のペースで走りながら前を吸収していく。
1周ラップされた時点でタイムアウトというルールはわかっていたが、
前から降ってくるチームメイトは疲労困憊で、
グルペットのスピードを高く保つことができず、
維持出来る最大限のペースをポッツァートが作りレースを消化していく。

優勝はミルサマ・ポルセイェディゴラコール。
完走は41名と厳しいレースとなった。
グルペットはそのままゴールをしたがDNFとなった。
レースを作った選手達(チームメイト)を置いて完走するために走るという選択はなく、レースは終了した。

●第4ステージ(5月23日)
開催地/静岡県駿東郡小山町 距離/11.4km(ヒルクライム)

グレッガ・ボレが個人総合時間賞首位に

ふじあざみラインを須走口五合目まで一気に駆け上がる11.4kmの登坂コース。最大勾配は22%におよぶ難コースで、グレッガ・ボレが力走しステージ6位でゴール。総合上位に付けるライバルたちからタイム差を奪い、個人総合成績で首位に立ち、総合リーダーの証、グリーンジャージを獲得した。総合成績では、富士山ステージをコースレコードを更新する圧倒的な力で制したミルサマ・ポルセイェディゴラール(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)が17秒差の2位に続く。

結果
6位グレッガ・ボレ(+2’13″)、20位アレッサンドロ・ビソルティ(+4’27″)、21位ウィリー・シミット(+4’39″)、25位ピエールパオロ・デネグリ(+5’16″)、40位アレッサンドロ・マラグーティ(+7’26″)、71位宮澤崇史(+12’02″)

グレッガ・ボレのコメント
「自分は山岳スペシャリストではないので、今日の結果は目標以上で嬉しく思っている。昨日の試走時は、まさか自分がグリーンジャージを獲得できるなんて思っていなかった。自分自身を信じて、すべての力を出して集中して走った。明日からのステージはリーダージャージを守る立場となるが、チーム一丸となって守りたいと思う。明日の伊豆ステージは厳しいコースで、レース展開も過酷なものになると思うが、自分には強いチームがついているので、みんなで協力してこのジャージを守り切りたい」

大門宏監督のコメント
「今日のステージは、下馬評通りイランのタブリーズ・ペトロケミカルの攻撃が際立っていた。スタート直後から彼らの凄まじいアタックが開始されたが、メイン集団もドラパックの牽引で反応、サポートカーでレース無線を聞きながら見守っていたが、イランチームの組織ぐるみのアタックに挑発されてか(?)、追走グループも、かなりオーバーペースのように感じた。

後半に入り、先頭グループは3名のイラン人によるアタックが繰り返されたが、今年のツール・ド・ランカウイでも個人総合優勝に輝いたイラン人選手が、2位以下を大きく引き離して優勝した。

今日のタイムで総合優勝にも王手が懸かっていた山岳を得意とするフランス人(ブリチストンアンカー)とスペイン人(チームUKYO)は、イランチームの陽動作戦に ペースを乱されたのか(?)本来の力を発揮できず大きく後退した。

結果的には、予想外にも個人総合リーダージャージが転がり込んで来たボレだったが、2位は彼から17秒差、3位は22秒差だ。イランチームにとっては個人総合の逆転の射程圏内。再び、得意の山岳ステージで攻撃を仕掛けてくるのは必至で、まだまだ予断は許さない厳しい状況だが、明日の伊豆ステージでは、引き続きチーム一丸となり、精一杯力を振り絞ってリーダージャージを守り、東京ステージに繋げたいと思う」

●第3ステージ(5月21日)
開催地/長野県飯田市 距離/148km

デネグリがステージ優勝! 総合首位に立つ

雨のなかで開催された飯田ステージ。序盤にウィリー・シミットを含む6選手の逃げが決まったが、中盤に強烈に追い上げるラファ・コンドール・JLTの動きにより集団に吸収され、ペースアップにより先頭集団は約30名ほどに絞られた。そこからさらにアタックがかかり、最終的にはピエールパオロ・デネグリとトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)が先行し、デネグリがゴール勝負を制して昨年に引き続くステージ優勝を挙げ、総合順位でもトップに立った。また後続集団から単独でアタックを仕掛けたグレッガ・ボレが3位に入り、ポイント賞首位に立つ。

結果
優勝ピエールパオロ・デネグリ、3位グレッガ・ボレ(+1’13″)、6位アレッサンドロ・ビソルティ(+1’55″)、11位ウィリー・シミット(+5’25″)、35位アレッサンドロ・マラグーティ(+16’10″)、47位宮澤崇史(+21’00″)

ピエールパオロ・デネグリのコメント
「今日はとても調子が良かった。チームの動きはパーフェクトで、今日の結果は彼らの素晴らしい働きによるもの。日本でのレースは、日本のスポンサーのためにとても重要なものであり、自分たちもとくに強く勝ちたいと思っている。次のステージでも勝利を狙っていきたい。自分は去年の勝利もあり、いつも日本では強くて運に恵まれているからね」

宮澤崇史のコメント(フェイスブックより)
「あいにくの雨はレースまでに止まず、上りは暑いが下りで身体が冷える選手泣かせの天候となった。
スタートから5人が飛び出し、NIPPOからは南アフリカ人のウィリーが入った。
レースはランプレが集団をコントロールし、力でねじ伏せるプロチームらしい動きで勝負をしてくる。
しかし、思惑はしっかりとあり、スピードには定評のあるドラパックの選手を苦しめるには、彼らのペースでレースが進むよりも、自分たちのペースでコントロールすることで脚を削る作戦とも思えた。
作戦は功を奏し、残り6周と早い段階からペースを上げたラファ・コンドール・JLTのペースに付いて行けたのはドラパックからはジェイ・クロフォードのみ。
ヴィーニファンティーニ・NIPPOとしては、キツい展開が狙いだったので、彼らが作った展開の中でいかに勝利へのタイミングを見つけるかが鍵となった。
デネグリは落ち着いて前々の展開をつくり、昨年のチャンピオンらしい素晴らしい走りで2年連続の飯田ステージを勝利で締めくくった。
チームは常に前で展開を見ながら全員がまとまって走ることで、お互いの体調や攻めるポイントなど話しをしながら展開に加われたことが勝因になったと思う。
次は富士山ステージ、最大の勝負所になるだろう」

大門宏監督のコメント
「今回は富士ステージ以外でのステージ優勝を目標に掲げていたので、まずは1勝できてホッとしている。勝因は中盤からの展開が自分たちに有利に働いたこともあるが、今日のコースプロフィールを得意としていたメンバーが、各自ベストコンディションで望めたことも大きかったと思う。

前半のエスケープグループにウイリーが入ったのは、どちらかと言えば良くなかったが、メイングループがランプレの動きを警戒しすぎて、厳しい展開に持ち込みにくい状況が続いた後、もう待っていられないと言う時にラファチームが一気に戦況を打開(活性化させた)頃から、ある意味安心して見守ることができた。あくまでも結果論だが、今日の彼らのコンディションを考えれば、個人総合を強く意識することで、後半は、デネグリ、ボレ、ビソルティが一緒に動きリードを広げることに成功したなら、山岳スペシャリストに対してもう少しタイム差を稼げたかもしれない。

富士山の山岳ステージはリーダージャージで望むことになるが、ハッキリ言ってデネグリに向いたコースではない。個人総合で上位にいるトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)やイラン勢(タブリーズ・ペトロケミカル)ら山岳スペシャリストがベストコンディションで走り切れば、ジャージを維持するのは難しいと思う。それよりも富士ステージは今回のメンバーの中では最も登れるビソルティにステージ優勝を期待したい。調子に波があるので心配だが、天候が悪かった飯田ステージ(ラスト周回でスローパンクし、少し順位を落とした)で調子が良さそうだったので、自信を持って望んでもらいたい。どのくらい登れるか未知数なのはポイント賞のジャージを着てスタートするボレ。総合上位の山岳スペシャリストからは1~2分差の位置にいる。彼はこれまでの4年間プロツアーレベルのチームに所属してきたが、今回のような距離の極端に短い山岳ステージで優勝(上位含め)を争ったキャリアはない。もちろん、「期待」のプレッシャーは一切掛けたくないが、彼自身も知らないサプライズが起こる可能性もゼロではないと思っている」

●第2ステージ(5月20日)
開催地/岐阜県美濃市 距離/160km

ロードレース1日目となった第2ステージ。21.3km、山岳ポイントを含む周回コースを7周半するコースプロフィールで、序盤から2選手が先行する。しかし終盤になってランプレ・メリダやドラパック、そしてヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザなどゴールスプリントに持ち込みたいチームによって吸収。思惑どおりにゴールスプリントの展開となり、ドラパックのワウテル・ウィッパートが3選手が横に並ぶ接戦を制し、グレッガ・ボレは4位、宮澤崇史が6位に続いた。

結果
4位グレッガ・ボレ、6位宮澤崇史、19位ウィリー・シミット、20位アレッサンドロ・ビソルティ、26位アレッサンドロ・マラグーティ、29位ピエールパオロ・デネグリ

宮澤崇史のレポート(フェイスブックより)
今日からロードレースが始まるとあって、集団の緊張感が高いことを感じる1周目が終わり、先頭は2人逃げでレースは始まった。
集団はランプレがコントロールしながら、途中レースリーダーのドラパックと代わりながらレースは淡々と進む。
この展開になるとレースを厳しくするのは難しいし、「明日以降の厳しいステージに集中したい」主要チームの思惑が感じられる。
チームミーティングでは私がエースとしてこの第2ステージを戦うことで走り始めた。
展開的にはもっと厳しいほうが最後に勝負をかけやすいと思っていたが、「ロードレースは集団が決める」と言うセオリーがそこにある。
勝負は最終周回の上りになり、チームメイトが全開でペースアップをして先頭で上りに入る。私はペースを守りながら集団40番手ほどで頂上を越え、チームメイトと合流。ポジション取りが激しいなか、チームの第2エースのボレと前方で下り切り、スプリントに入る。
残り1kmのコーナーを立ち上がってランプレが主導権を取り、道路左端を全開で進む。イン側にドラパックが2人入り、その後ろにボレ、私の順でスプリントへ。
しかし、外側にアヴァンティにかぶされ身動きがとれないまま残り200m。
完全に閉められてしまい、いちど後ろに下がってスプリントに入ったが遅く、6位でのゴールとなった。
ボレは最後左をこじ開けてスプリントに入り4位。
良い結果には結びつかず残念だったが、最終周回での攻撃、チームメイトと近くで連携をとりながら走れているので、また東京で勝負したいと思う。
明日以降はチームメイトのアシストに回る仕事に徹したいと思う。

●第1ステージ(5月18日)
開催地/大阪堺市 距離/2.65km(個人タイムトライアル) 

エキシビションレースとして開催されたクリテリウムのあと、大仙公園の外周を1周回するコースで開催された個人タイムトライアル。チームの最高位はクリテリウムで2位に入賞したグレッガ・ボレの12位。ステージ優勝は2012年の同ステージ優勝者であるウィリアム・クラーク(ドラパック)。

結果
12位グレッガ・ボレ(+8’83″)、17位ウィリー・シミット(+10’83″)、43位ピエールパオロ・デネグリ(15’47″)、44位アレッサンドロ・ビソルティ(+15’55″)、45位アレッサンドロ・マラグーティ(+15’81″)、66位宮澤崇史(+21’02″)

大門監督のコメント
「3km弱と短距離の個人タイムトライアルだった第1ステージ。
今回のメンバーにはピスト競技のスペシャリストもおらず、明らかに狙えるステージではなかったが、
不得意種目にも関わらず、6人全員が手を抜くことなく入念にウオーミングアップする等、
今回の大会に賭ける意気込みが十分に伝わってきた。
今日の結果だけ見れば際立った成績はなかったが、
初日からの雰囲気作りこそが大切なんだと改めて気付かされた1日だった」