REPORT

3ダークセ・ファン・ウェストフラーンデレン(UCI2.1)

開催日 3月7日〜9日
開催場所 ベルギー、フランドル地方

ベルギーのフランドル地方で開催された3日間のステージレース、通称「西フランドルの3日間」。この地方独特の石畳がコースに多く取り入れられ、これから始まるクラシックシーズンに向けて、多くのUCIプロチームらが参戦するレベルの高いレースだったが、エドワード・グロスが中間スプリント賞を獲得した。

参加メンバー:アレッサンドロ・マラグーティ(総合42位)、ピエールパオロ・デネグリ(総合80位)、エドワード・グロス(総合121位)、キム・マニウッソン(総合83位)、リカルド・スタキッオッティ、石橋学、小石祐馬

大門監督のコメント
先日のレポートでも紹介したが、チームはこの時期3つのグループに分かれて転戦したが、ベルギーでのスケジュール調整が、移動も含めてもっとも難儀だった。しかし、我々のメインスポンサーの一角を占めるファルネーゼヴィーニ社にとって、ベルギーはヨーロッパ地域で最も重要なマーケットだったため、招待条件はあまり良いとは言えなかったが、迷うことなく準備を進めた。

ベルギーは正にロードレース王国だといつも感じる。ここ数年はイタリアでは、閑古鳥が鳴いているようなプロレースも目立っているのだが、ベルギーはジュニアやアマチュアレースでも多くのファンが押し寄せる。下のクラスでも熱心なポストカード&ボトルコレクターが多く押しよせる。一般的にロードレースがメジャーと言われるヨーロッパでも、平坦でも沿道にファンの壁ができるのはベルギーくらいだろう。

個人的には、その「下のクラスでも多くの関心を集める」ってところが文化的なスポーツの発展には凄く欠かせない事なのだと思う。ツール・ド・フランス等をはじめとする3大ツールは別として、レースへのギャラリーの関心&熱中度という点では、ベルギーに勝る国はヨーロッパにはないと思う。ここは正に「国技」なのだ。イタリアみたいに、自分たちのようなチームにも平気で「ジロ・デ・イタリアに出るのか?? なんで出ないんだ??」って真剣に聞いてくるオッサンはココにはいない。

そんな訳で、今回も大型チームバスの出動となった。しかしながら、この大型バス……。.一見豪華絢爛? 華やかに見えるが、長距離移動に費やされる燃料&メンテナンスの消費が半端でないのだ。さらに運転手にかかる諸費用……。使い方次第で、チームの財政を圧迫するだけの無用の長物とも思えるほど「厄介な物体」でもある。

じつは3年前も所有していたのだが、半端ない燃費効率の悪さとイタリアのスポンサーからの未払い(珍しくない)等でほとんど出番がなかった。確かに広告媒体と言う点では効果はテキメンだ。でもそういう実体験以来、大型バス導入に関してはスポンサーからの別予算を計上して貰うことが絶対条件だと心に誓ったものだ。

今やヨーロッパのレースシーンでは見慣れたチームバスも、10数年前に各大型チームが競うように導入した。当初はお金持ちのチーム限定で、しかも3大ツール期間だけオランダやルクセンブルグのバスリース会社から拝借して来るのが普通だった。ところが今は時代も変わりワールドツアーのチームは2~3台所有しているのも珍しくない。だが、そういう大型車両導入のムードも段々エスカレートし、近年では機材専用の特殊なバスも目立ってきた。機能や内装はピンキリの様だが管理&維持費は大変なんだろうと思う。

自分なんかから見るとそういう部分でも、財政を圧迫して、無理しながら競い合ってる兆候は、決して良いことだとは思わない(当然ながらエコでもない)。トップクラスは別として、中間層に位置する選手やスタッフ自身のモラルにも余り良い影響を与えないんじゃないかと思っている。
大会の規模が大きく華やかに見える「視覚的効果」も事実だが、そんな事に湯水の様にお金を注ぎ込む余裕が在るのなら自転車の「操縦」を教えること(特に最近、下手クソなトップライダーの下らないクラッシュが急増中)に労力を使って欲しいと願っている。

またレースを主催するオルガナイザーも、駐車スペースの確保に年々苦労してるようだ。まぁそういう点でも在る意味日本のレース界は平和だと思う。余談だがNIPPOが3年前から日本国内で維持してる中型トラックなんてヒヨコみたいに可愛いもんだといつも思う。

今回はベルギー在住の橋川(第3監督)にも世話になった。西、福井修行生のメカニック組は、機材運搬でいつも厄介な鬼門のスイス(距離的に最低100kmは短くなるが、積載機材の税関チェックが厳しい)通過は断念してフランス、モンブラン近郊周りでベルギーに北上。鹿屋体育大学の黒川監督から「使命」を託されているメカニック研修中の福井にとっても絶好のチャンスだったと思う。とは言え、自分が自己満足で「願う」だけでは駄目だと何時も考える日々の連続だ。今回の貴重な体験を将来生かすも殺すも自分(彼)次第!!

チームユーラシアのスケジュールで橋川も忙しそうであったが、そこを半ば強引に無理言ってライセンスコントロールや監督会議は彼に任せる。そしてジュリアーニ監督と選手はペスカーラから飛行機で移動。(帰路は車)今回ベルギーに向かった日本人メンバーは石橋と小石の2名、どちらも今年所属の日本人の中では比較的「大型選手」。この2人は将来的にタイムトライアルでのクオリティにも期待しての派遣だった。

既にベルギーでの経験がある小石は、若干アンダー3年目の選手だが、橋川も絶賛するほど身体能力に優れており、今後も選手人生を歩んで行く上でモチベーションにも繋がる良い経験になったと思う。石橋も小石と負けず劣らず身体能力の高い選手だが、2人ともハートも鍛えながら身体能力を開花させるために自らの努力が欠かせない。今回も反省に満ちた遠征であったことは往々に想像が付く。

2人の前にはまだまだ大きな課題が立ちはだかっているが、この年齢層で苦しんでるのは日本人だけではない。層が厚いと言われるヨーロッパでも、毎年多くの選手が競技から去っていくのもこの世代なのだ。

日本人選手&スタッフにとって近年我々の体制&環境は確かに「外国人から学び取るセンス」が凄く問われるムードに満ちているが、少しでも彼等が自ら信じて、リスクは承知の上で身を投じている道に導いて行きたいと思っている。